リーガルブログ

民事信託(家族信託)とは?

新しい資産承継の方法である民事信託(家族信託)についての記事はこちらから。 まだまだ知られていないですが、現在注目されている財産管理のひとつです。

家族信託と税務②

2018年09月04日

こんにちは

 

 

9月に入りましたね。

台風が近づいてきていて、雨や風には充分注意をしてくださいませm(__)m

 

 

 

今日は、以前ご紹介しました家族信託と税務の続きです。

 

以前のはコチラから

家族信託と税務①

 

今回は司法書士にも関わりがある登録免許税、不動産取得税と固定資産税についてです。

 

まずは、登録免許税からです。

不動産を信託する場合、原則として信託登記をします。

なぜかというと、不動産の情報は基本公示されていますので、その不動産が信託されているかどうかは登記されない限り分かりません。登記をすることで信託財産であることを証明することが出来ます。

また、登記されることで分別管理ができ、信託財産としての独立性を保つことができます。

これらの理由から、不動産は契約締結後に登記を行います。(私たちの本職ですねw)

 

そのため法務局に申請する際に、登録免許税がかかってくるというわけです。

信託の登録免許税は以下のとおりです。

 

土地 固定資産税評価額 × 0.3%  ※軽減措置により

建物 固定資産税評価額 × 0.4%

となっており、売買や贈与よりも安い費用で行うことが出来ます。

 

不動産を生前贈与しようと考えている方は、家族信託を検討してみる価値はあるかと思います。

 

ただ、信託が終了し誰かにその不動産を帰属させるときは、基本贈与という扱いになってしまいます。

(※特例として相続としてみなされば、相続登記と同じ費用になります。)

そのため、信託をしたせいで費用が余計にかかってしまうということもありえます。

しっかりと出口をどうするのかを考えておく必要があります。

 

 

次に不動産取得税です。

不動産を取得したら、1回だけですが不動産取得税がかかります。

基本的に売買の場合は軽減措置があるのでかからない場合が多いのですが、贈与等でもらった場合は普通に課税されてしまいます。

では、信託した不動産はどうなるかというと、信託した段階では取得したわけではないですので、受託者の方に税金がかかることはありません。

信託が終了し、誰かに帰属した段階でかかってきます。

(※特例として、相続としてみなされればかかりません。)

なので、しっかりと考えて組成する必要があります。

 

最後に固定資産税です。

こちらは毎年1月1日に不動産を所有している方にかかってくる税金です。

5月頃納税の通知が来るかと思います。

この固定資産税は、信託をすると受託者のほうに届くようになります。

登記簿の所有者に届くためです。

ただ受託者はあくまで預っているだけですので、基本的には委託者の方が支払うというのが一般的です。

なので、不動産を信託する際は、ある程度の金銭も一緒に信託することになります。

 

 

おおまかではありますが、まとめさせていただきました。

その他にも信託は考えるや注意する点が多くあり、やはり精通した専門家に依頼するのが無難です。

ご興味や関心がある方は、お気軽にご連絡ください。

 

 

ではまた!

家族信託と税務①

2018年07月09日

こんにちは

 

 

各所で大雨の被害がでていますね。

お亡くなりになった方にご冥福をお祈りいたします。

また行方不明の方が一刻も早くみつかってほしいですね。

 

鹿児島はそこまで雨はひどくなかったですが、地盤がゆるくなっているところもあるかと思いますので、十分に注意していただければと思います。

今週から晴れが続きそうなので、梅雨明けになるかもしれませんね。

 

 

さて、今日は家族信託についてです。

家族信託のお話をさせていただく機会が増え、受託する件数も少しずつ増えてきています。

家族信託の仕組み自体なかなか難しいところがありますが、当然そこに税務も絡んできます。

もちろん税理士さんとご相談しながら進めさせていただいております。

 

しかし、よく税金はどうなるのかというご質問も多いため、一般的な話をご紹介させていただきます。

 

 

大原則として、家族信託は受益者課税です。

基本は受益者が税金を払うこととなります。

 

 

まずは贈与税・相続税についてです。

委託者から受託者へ託しますが、その益は受益者にいきます。

つまり税務的には、受益者がもらったとみなし、贈与税が課税されます。

しかし、委託者と受益者が同一の場合は、実質的に動いていないため、課税はされません。

 

つまり

委託者=受益者 贈与税かからない

委託者≠受益者 贈与税がかかる

となります。

 

では、受益者が死亡した場合の相続税はどうなるでしょうか?

死亡によって信託が終了する場合で、(前受益者の)相続人に帰属する場合は、相続とみなし、相続税がかかる場合は納税が必要になります。

相続人以外の場合は、遺贈とみなされ、相続税がかかる場合は2割加算対象となります。

 

死亡によって次の受益者へ受益権が移る場合でも、上記と同じ考えとなります。

相続税は相続と同じ考え方でよさそうです。

ただ基本的には受益者からの遺贈という扱いなので、そこは注意が必要です。

特に連続型はより複雑になるため、事前にしっかりとお話をさせていただいております。

 

また信託をすると、基本は相続財産からは外れることとなります。(委託者の財産ではなくなるため)

帰属する人を指定すると、その人が財産を引き継ぐ形となります。

これは遺言書と同じような役割を持っていることが分かるかと思います。

 

 

信託を使うことでのメリットはたくさんありますが、税務的なメリットはほとんどありません。

しかも下手をするとかなりの税金がかかってしまう可能性もあります。

そのため、自分で組成せずに、信託に詳しい専門家に相談しながら進めていただければと思います。

 

 

当事務所でも信託に詳しい税理士の先生と一緒にご提案をさせていただいております。

疑問や不安がありましたら、お気軽にご相談くださいませm(__)m

 

 

それではまた!

信託登記無事完了!

2018年06月14日

こんにちは

 

ついにサッカーW杯が始まりますね。

楽しみではありますが、寝不足に注意したいと思いますw

日本は格上ばかりではありますが、なんとかグループリーグ突破してほしいと思います!

 

 

さて今日は、以前信託契約書を締結したというブログを書かせていただいたのですが、その登記が無事完了しましたので、ご報告も兼ねてご紹介させていただきます。

以前のブログはコチラ↓↓↓

今年度初めての家族信託契約の締結

 

 

当事務所で実際に信託がスタートしている件数は、今回で3件目となります。

鹿児島でも積極的に取り組んでいる先生や業者さんも増えてきているので、今後も増えていくのではと思っております。

まだまだ実務的には整備されていないところが多々ありますので、この制度自体がどんどん認知されていければいいなと思います。

 

 

以前もご紹介はしたのですが、不動産を信託すると各法務局の管轄でどの程度信託されたかという通し番号がつきます。

現在(H30.5.25時点)、鹿児島地方法務局で21件(今回のも含む)が信託されているようです。

当然全体の登記件数から比べればものすごく少ないのですが、ほんとに少しずつですが増えてきている印象です。

今も何件かお客様と信託でのやりとりをさせていただいております。

 

 

認知症対策で活用する場合は、設計自体も比較的シンプルですので、活用しやすいかと思います。

そうしたリスクヘッジをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談いただければと幸いです。

 

 

それではまた!

今年度初めての家族信託契約の締結!

2018年05月08日

こんにちは

 

GWも終わり、仕事はじまってしまいましたね・・・

お天気もよく、外出された方が多かったのではないでしょうか?

奄美では梅雨入りしたそうで、鹿児島も早々と梅雨入りしそうなお天気です。

 

 

 

さて、今日は家族信託のことでのご報告です。

 

現在、当事務所では家族信託の手続きを進めているお客様が何名かいらっしゃいます。

まずはご希望をお聞きし、家族信託という仕組みをご理解いただき、契約曽の内容を吟味し、作成していくというのがおおまかな流れになるのですが、完成までにお時間がかかります。

当事務所では公正証書での作成をお願いしていますので、公証人の先生とも何度もやりとりをさせていただきます。

 

 

そんな中、受任させていただいているお客様のお一人の内容が固まりましたので、本日今年度初めての公証役場で家族信託の契約書締結となりました。

遺言書とは違い、署名等をするわけでないので立会いだけですが、毎回大丈夫かどうか緊張いたしますw

なんとか無事契約も終わり、ホッとしております。

 

信託の場合は、これで終わりというわけではなく、これからスタートとなります。

目的が達成されるよう今後もしっかりとサポートさせていただきます。

 

 

家族信託を実際にされている方は、まだまだ鹿児島では少ないですが、今後は増えてくると思っております。

当事務所では、実際に家族信託のサポートを行っております。

興味や関心がある方はお気軽にご相談くださいませm(__)m

 

それではまた!

「家族信託」案件の受託

2018年02月23日

こんにちは

 

オリンピックも終盤ですね。

今回は長野を超え、最高のメダル数ということで、オリンピックという特別な場所で、実力を発揮できる選手たちは本当にすごいと感動しております。

選手たちかエネルギーをもらって、負けないように頑張りたいと思いますm(__)m

 

 

さて今日は、当事務所における家族信託の受託状況について、ご紹介させていただきます。

 

今週、家族信託の案件を2件受託させていただきました。

そのほか家族信託の相談も2件ありました。

 

最近、家族信託のことが周知になりつつあると思います。

しかし、まだまだ鹿児島ではされている先生が少なく、検討したいという方からご相談を受けることが増えてきております。 

遺言・成年後見等で可能でないことも、家族信託であれば可能な場合もあるので、もっと皆さんに知っていただき、活用していただければと思います。

 

ご興味や関心がある方は、お気軽にご相談いただければと思います。

 

当事務所の実績をご紹介しておきますので、参考にしていただけば幸いです。

~平成30年2月23日現在

相談件数           約50件

家族信託受託件数        5件

相談中の案件数        5件 

 

 

それではよい週末を☆

民事信託(家族信託)の信託登記が無事終わりました!

2017年05月16日

こんにちは

 

GWも終わりましたねーsun

終わってみるとあっという間ですよねーflair

やっと仕事へのリズムを取り戻してきている今日この頃ですw

 

 

 

さて、今日は以前お伝えした信託契約書の無事締結を終え、信託登記をしますーというブログをUPしたのですが、やっと信託登記が無事終わりましたのでご報告もかねてご紹介です。

 

以前のブログはこちら↓↓↓

http://legal-flag.com/blog/shintaku/post_510.html

 

 

これが、完了後の謄本の一部です!

 

 

登記簿謄本(信託).JPG

 

 

写真からも分かるように、もちろん登記原因は「信託」です!!

このあと、ながーい信託目録も出てきます。

この目録で、信託の内容が確認できます。

 

また、鹿児島地方法務局で信託目録第8号(もう一つ物件がありましたので第9号も)でした。

これは、不動産登記法が改正された以後に、物件ごとにナンバリングされます。

ですので、現在鹿児島地方法務局管轄で、この信託された不動産は8物件目ですよーということを示しています。

 

鹿児島ではまだまだ少ないというのがお分かりになると思います!

この目録番号を当事務所が率先して増やしていけるよう精進していきますshine

 

そのためには、民事信託(家族信託)といった方法がありますよーと皆様にお伝えしていくとともに、興味・関心がある方がいらっしゃいましたら、実際に実務ができる専門家にご相談していただければと思います。

 

また、周りに相続や承継で悩んでいる、困っている人がいれば、ぜひご紹介していただければ幸いです。

当事務所が皆様にとってベストな方法をご提案させていただきます。

お気軽にご相談ください。

もちろん民事信託(家族信託)にご興味・ご関心がある方もお気軽にお問い合わせください。

 

 

それではまた!

当事務所初の民事信託(家族信託)契約公正証書作成!!

2017年04月14日

こんにちは

 

 

雨から一転、とてもいいお天気になりましたねsun

日中は暑いぐらいです!

すでに半そでの人がいましたよーw

桜も満開で見ごろですので、お花見を楽しまれた方も多いのではないかと思いますcherryblossom

車で回っているだけでも楽しめましたよ!

 

 

 

さて、今日は民事信託(家族信託)のことでご報告をさせていただければと思います!

 

以前から、当事務所では民事信託(家族信託)を活用したほうがよいのでは?というお客様に信託のお話をさせていただいており、ご納得していただいたお客様から受任させていただいている方がいらっしゃいます。

 

とはいえ、鹿児島ではまだ実際に民事信託(家族信託)を始めている方はほとんどいらっしゃらないのが現状です。

スキームの難しさや税金や費用、家族の了解など、信託制度がいいと思っていても、信託を始めるまでには時間がかかったり、ハードルがあることが多いです。

お客様と何回もお話をさせていただき、要望や内容の確認をし、ご家族にもお話させていただき。全員の同意が得られた上でやっと契約書を作成します。

 

契約書自体は、原則公正証書である必要はないのですが、金融機関さんとの兼ね合いや後でトラブルになるのを避けるために、当事務所ではなるべく公正証書で作成することをお勧めしています。

 

さて前置きが長くなりましたが、このたび、当事務所で初めて信託契約を公正証書で作成させていただきました!!

公証人の先生とも何回も打合せをさせていただき、やっと完成にいたりました・・・

完成まで時間がかかり、お客様を待たせてしまったのですが、昨日公証役場へ行き、契約書の作成手続きをさせていただきました。

同席させていただき、一緒に内容を確認し、見届けさせていただきました。

終わったときは、無事締結できてホッとしました。

 

 

次は、信託登記です!

現在。信託登記に向けて準備を進めております。

また登記が無事終わりましたら、こちらでご報告させていただければと思います。

 

 

信託は契約を締結したときからが本当のスタートです。

お客様とも長いお付き合いになりますが、信託組成後もサポートさせていただくことが当事務所としての責任だと考えております。

民事信託(家族信託)に興味ある方やご相談してみたいという方はお気軽にご連絡ください。

 

 

それではよい週末を!

民事信託(家族信託)ってどう使える?

2017年03月09日

こんにちは

 

 

日曜日は鹿児島マラソンでしたね!

あいにくの雨でしたが、走られた方は本当にお疲れ様でした!

まだ足や体が痛い方もいらっしゃるとは思いますw

仕事は休めないかと思いますが、しっかりとケアしてくださいね。

 

 

さて、今日は最近テレビなどでも話題にされている民事信託(家族信託)に関して、どのようなものなのかを改めてご紹介させていただきます!

以前UPしたのは、信託の機能などをご紹介しましたが、今日はもっと分かりやすく、ざっくりどう使えるのか?というところをご紹介致します。

 

まずは民事信託(家族信託)とはなんぞや?からですが、一言で表すと「財産管理の一手法」です。

自分の財産を信頼できる人に託し、管理してもらい(これが「信託」ですね)、預ける相手が信託会社以外の誰かに託すと「民事信託」で、その中でも家族に託すと「家族信託」となります。

自分の財産を託すとなると、やはり信頼できるのはご家族になることが多いかと思います。そのため、家族信託という言葉のほうが一般的には使われることが多くなってきています。

 

それではなぜこれが私たちの業界で話題になっているのかというと、今まで出来なかったさまざまなことができるようになるからです!

 

一つ目は、認知症対策に活用できるからです。

認知症になってしまうと、自分の財産を自由に使うことは原則できなくなります。

今までは、後見人制度などを利用して、財産を管理していくことは多かったのですが、後見制度は認知証になった方の財産を守るという性質上、財産を動かすことは非常に難しくなります。

たとえば、相続税対策でアパートを建てたり、購入したりすることはもちろん出来なくなります。

しかし、この家族信託を活用すると、たとえ自分が認知証になったとしても、財産を託した人が代わりに契約をしたり、建築後も管理をしてくれます。しかも、賃収などを生きている間は自分に入るようにすることも可能です。

 

2つ目は、自分の望んだ承継ができることです。

自分の土地は先祖代々受け継いできたが、お子さんがいらっしゃらない場合、奥様より先に亡くなってしまうと、奥様のご兄弟へ土地の権利が渡ってしまうことになります。

自分の想いとしては、できれば自分達の家系に引きついでいって欲しいが、遺言ではそこまでの法的効力をもたせることはできません。

当然奥様がご存命中の間は、奥様に自由に使って欲しいという想いもあります。

このような場合、家族信託を活用することで、自分が亡くなった後は奥様へ、そして奥様が亡くなった後は、兄弟の子供へその土地を引き継いでもらうことが可能となります。

 

 

家族信託の活用法がなんとなく見えてきたのではないでしょうか?

ほんの一例にはなりますが、今後ますます活用されていくと考えられています。

 

また自分の財産を託すことで、安心して今後生活できるようになりますし、託される側も亡くなってから突然ではなく、前もって把握できるため、しっかりと準備することもできます。

 

 

それではいつ始めればいいか?という質問がでてきそうですが、答えは「今から」です。

遺言もそうですが、ご自身がお元気でないと活用できません。

あまり想像したくはないですが、いつ認知証になってしまったり、寝たきりになってしまうか分かりません。

そうなってからでは何もできなくなってしまいます。

 

実際に対策をするかどうかは後で考えるとして、まずは対策をしたほうがいいのかどうか、するならどういう対策がいいのかを知っておくことが重要です。

そうしたお手伝いをさせていただければ幸いです。

 

何かありましたら、お気軽にご相談くださいませ!

 

 

それではまた!!

民事信託とは?Vol.4

2015年04月30日

第4回 民事信託の種類について

 

民事信託に関して書かせていただいている矢切です。

もうすでに4回目なんですね。

いつまで連載するか先は見えていませんが、最後までお付き合いしていただけたら幸いです。


今回は民事信託の種類についてお話いたします!


前回の記事については下記よりご覧ください。
第1回 http://legal-flag.com/blog/1.html
第2回 http://legal-flag.com/blog/post_356.html
第3回 http://legal-flag.com/blog/post_369.html


一般的に次の8種類あるといわれています。

1.遺言代用信託
2.受益者連続型信託
3.自己信託
4.目的信託
5.事業信託
6.限定責任信託
7.担保権信託
8.受益証券発行信託


では1つずつ見て行きましょう!


1.遺言代用信託

これは委託者の死亡を条件に自益信託から他益信託になる信託設定方法、あるいは当初から他益信託とするが受益者が信託財産から給付を受けられる時期が委託者死亡以降であるとする信託設定方法です。

つまり、委託者兼当初受益者死亡後の受益者を決定しておく信託です。

遺言や死因贈与と比較してみると分かりやすいかと思います。

 

hyo1png.png

 


信託法をみてみると、以下のように決められています。

信託法
(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)
第90条 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めとする。

一.委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
二.委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託

第1号の場合は、当初は自益信託であり、当初受益権(兼委託者)の死亡によって、その受益権が第二受益者に相続されるような形となり、まさに遺言と同様の機能が発揮できます。

それに対して第2号は、当初から委託者と受益者が別人、すなわち委託者から受益者に対する生前贈与が行われていることになり、ただその受益権の行使に関して、委託者の死亡の時以後でなければ実行できないという信託方法です。

注意していただきたのは、第2号の場合には他益信託になりますので、設定段階で贈与税が発生します。

また第1号の場合、親から長男にという遺言代用信託の場合で、受託者を長男にしてしまうと、信託法第163条の規定により、受託者と受益者が同一になってから1年で信託自体が終了してしまいます。

信託法
(信託の終了事由)
第163条 信託は、次条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。
一.信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
二.受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき。
三.受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき。


これを使えば、委託者が元気なときに設定しますので、ご家族も安心して財産を受け継ぐことができますよね。


2.受益者連続型信託

これは画期的な信託設定方法で、現行民法上での遺言の範疇では実現不可能であったことを実現できる可能性を秘めています。

何代も先の受益者候補者を、当初の委託者が決定しておけます。親から子へ、子から孫へ、さらにひ孫や玄孫に至るまで、自分の直系血族にのみ財産を相続させたい、裏を返せば「婚姻側に財産を流したくない」という考えを持ってらっしゃる方も多いかと思います。

この信託を活用することによって、親が元気な段階で長いスパンで財産の帰属先を決めておけることができます。


信託法第91条を見ると、2つの定め方があることがわかります。

ⅰ.受益者が死亡した際には受益者が消滅し、次順位に定められた受益者が新たに受益権を取得する定め。
ⅱ.受益者の死亡によって受益権が、次順位に定められた受益者に引き継がれる定め。

これを仮に委託者兼当初受益者A、二次受益者B、三次受益者Cという設定で考えてみると、ⅱの定め方の場合には、信託の受益権がA→B→Cに相続財産として相続されていくことになりますが、ⅰの定めの方は、A→Bの段階ではBにとってAからの相続財産としての受益権を受領したことになるものの、B→Cの段階では、B死亡時に受益権が消滅し、同時にCに対して新たな受益権が発生することになるので、理論的には受益権が一旦は既に死亡しているAに戻って、そこから新たにCに受益権が与えられることになり、その結果この受益権は誰の相続財産になることもないということになります。

これであればBの推定相続人からの遺留分請求ができないという結論になります。ただし、この信託には「30年ルール」が存在し、永久に財産の取得者を定め続けることはできません。これは、信託設定以後30年経過時点における受益者が指定した次の受益者が最終受益者となり、それ以降は認められません。

文字だけだと分かりにくいと思いますので、上の例を図表にしてみました。

 

zu5.png

 

 

この最大のメリットは、委託者、つまり財産を残したい人が、誰にどの順番で財産を承継させるかを自由に決めれるということです。例えば会社の決定権を左右する株の承継は、非常に重要ですよね。

遺言の場合は、長男に決定権を持たせるというところまでしか、決めることはできません。そのあとは長男に委ねられます。この場合、長男の奥さんのほうに株が流れてしまう可能性はありえます。しかしこの信託を使うことで、長男の次は次男、次男の次は長男の子ども、その次は長男の孫というように、元気なうちに決めることが可能になります。うまく活用することで、委託者の思い通りの承継が可能になります。

こうしたことでもめてしまうことも考えられますので、できる限り家族内で話をしていることが、うまくいくことに繋がるのは同じです。

 

少し長くなってしまったので、続きは次回です。

こうした知識を知ることで、相続に関する準便のきっかけにしていただければと思います、


では次回もよろしくお願い致します!

民事信託とは?Vol.3

2015年04月02日

第3回 民事信託の7大機能とは?

 

民事信託に関して書かせていただいている矢切です。
今回は民事信託の機能についてお話いたします!

 

前回の記事については下記よりご覧ください。
第1回 http://legal-flag.com/blog/1.html
第2回 http://legal-flag.com/blog/post_356.html

 

さて、前回で民事信託の考え方はある程度お分かりになったかと思います。
実際にどのような機能があるのかをご紹介いたします。

まずはどのようなものがあるかあげて見ましょう。

 

1.条件付贈与機能

2.意思凍結機能

3.物権の債権化機能

4.所有権名義集約機能

5.財産分離機能

6.パス・スルー機能

7.倒産隔離機能

 

全部で7つあるといわれており、「民事信託の7大機能」と呼ばれています。
では1つずつ見ていきましょう!

 

1.条件付贈与機能
民事信託において、委託者が受益者に対して、委託者の所有する財産のうち、受託者に移転される「名義」以外の実質的権利を移転するのが本質ですから、「贈与」となります。
しかし、単なる贈与ではなく、「条件」が付加されているのが大きな特徴です。
最初の条件は、「場合によっては解除されることがある」ということです。
すなわち、一定の解除条項を付けていれば、再び委託者に権利を戻すことができます。
次の条件は、委託者の意思によって、当初受益者を自分自身、二次受益者を他者とすることによって、実質的に「死因贈与」とすることができます。
つまりは、民事信託を使うことで従来できなかった柔軟な対応が可能となります。

図に表すとこのような感じです。

 

zu3.png

 

2.意思凍結機能
委託者の意思が、その後の状況変化に一切関係なく、少なくとも契約期間中は永続的に変わることなく生かされ続けることを言います。
民法における委任契約や代理契約については、基本的には委任者が死亡した段階で契約自体が終了します。
しかし信託では、委託者の意思が、「自分が死んだらAに、Aが死んだらBに」といった内容であるならば、途中に介在しているAの意思には関係なく、委託者の意思どおりに財産を承継できます。

 

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3.物権の債権化機能
前回でも書かせていただきましたが、委託者の所有権は「名義所有権」と債権である「信託受益権」に分割され、それぞれ別々に機能することを言います。
一度信託してしまうと、物権的権利である名義所有権は半永久的に受託者のものとなるため、委託者に相続が発生した場合には、債権である受益権が相続されます。もし法定相続になったり、遺留分減殺請求(もともともらえる人がもらえない場合にくださいという権利)を受けてしまった場合でも、可分債権である受益権の一部を他の相続人に渡すだけで処理は完了し、所有権自体の名義が共有化するという不便を回避できます。

 

4.所有権名義集約機能
多数の当事者が一人の受託者に信託することによって、名義所有権を一本化され、一括管理ができるようになります。
この機能によって、不動産を合筆しての利用が可能になったり、株式であれば議決権を一括行使することによって、経営判断の迅速化が可能になります。
現行信託業法の規制があり、不特定多数の委託者から一人の受託者が信託を受けることにはやや問題がありますが、親族間で共有になっている物権を一人の受託者に任せて管理するなどの活用はできます。

 

5.財産分離機能
これは一人の人の財産の全部又は一部を信託財産とすることによって、他の財産と完全に分けて管理することが可能になります。
よって、一人の人が所有している様々な財産を分別し、それぞれの将来の取得者を決めておくことによって、柔軟な財産管理手法を取り入れることができます。

 

6.パス・スルー機能
税制上、信託は「無いもの」とみなされることになっており、これをパス・スルー機能とよびます。
「委託者から受益者への贈与」である他益信託では贈与税が課せられますが、自益信託であれば、相続の段階になるまでは課税されなかったり、不動産を信託しても譲渡取得税や不動産取得税は課されません。
注意していただきたいのは、流通税の軽減にはなりますが、相続税や譲渡取得税の節約にはなりませんのであしからず。

 

7.倒産隔離機能
信託が組成された後は、仮に委託者・受託者・受益者のいずれかが破産や倒産をしても、信託そのものは全く影響を受けることはありません。
もちろん債権者は受益権に対して執行することができますが、財産自体については受託者の名義のままで進めることができます。
ただ間違えられやすいこととして、信託された不動産に抵当権が付いている場合、その抵当嫌の実行は、信託と抵当権との設定時期の前後に関係なく、当然に可能であるということです。
必要に応じて、信託設定が抵当権者にとって悪影響のないものであるという説明がいるかもしれません

 

以上が民事信託の7大機能です。

 

いかがでしたでしょうか?
少しは民事信託の中身についてご理解できましたでしょうか?
こうした機能を活用し、民事信託使った財産管理スキームを作成していきます。

 

次回は民事信託の種類についてです!

 

良く判らないとかここをもう少し説明してほしいなどのご質問等があれば、メールもしくはフェイスブックにもこちらをあげますので、そちらよりコメントいただければと思います。

 

では次回もお楽しみに!